滞納賃料・家賃等回収の手続はどのような流れで進むのか?

家賃・地代などの賃料が滞納された場合には,段階をおって法的な対応を進めていかなければなりません。ここでは,滞納賃料・家賃等回収の手続はどのような流れで進むのかについて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

最初の滞納に対する催告

はじめての家賃・地代などの賃料滞納があった場合,いきなり訴訟を提起することもできないことはないのですが,そのようなことはあまりないと思います。単に入金忘れということもあり得るからです。

そこで,最初の滞納があった場合には,まずは賃借人(借主)に対して,電話などで支払いを求めるのが通常でしょう。

ただし,支払期日に入金がなかった場合には,すぐに催促した方が効果があります。できれば翌日にでも入金を催促し,継続的に連絡をとっておいた方がよいでしょう。

念のため,賃貸借契約において,賃料につき連帯保証人とも連帯保証契約をしていたという場合には,その連帯保証人に対しても連絡をとっておくとよいかもしれません。

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内容証明郵便による請求書の準備

催告をしても支払いがなく,それが連続した場合,たとえば,月払いで滞納が2か月目(2回目)になるというような場合には,賃借人に対して正式な請求書を送付しておくべきです。

この請求書は,後に証拠とすることができるように,配達証明付きの内容証明郵便で作成するのがよいでしょう。

請求書には,滞納賃料の金額を明示して支払いを求め,かつ,支払いがない場合には法的手続とる旨を記載しておく必要があります(事情によっては,不動産の賃貸借契約の解除もあり得るという旨も付記することがあります。)。

また,賃貸借契約において,賃料につき連帯保証人とも連帯保証契約をしていたという場合には,その連帯保証人に対する配達証明付き内容証明郵便も作成しておいた方がよいでしょう。

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内容証明郵便による請求書の郵送

実際に滞納が2か月目(2回目)になってしまった場合には,配達証明付き内容証明郵便による請求書を郵送します。

この場合,連帯保証人がいれば,その連帯保証人に対しても,連帯保証債務の履行を求める配達証明付き内容証明郵便による請求書を郵送します。

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裁判外での交渉・合意(示談)

賃料の滞納が継続した場合には,裁判外で交渉をして,支払いを求めるのが一般的です。連帯保証人がいれば,連帯保証人とも話し合いをしておく必要があります。

交渉によって話がつき,即座に支払いがあれば問題はありません。もっとも,滞納分を分割払いとするなどの場合には,その滞納分の支払いについての交渉結果を証拠として残しておくために,合意書(示談書)などの書面をとっておいた方がよいでしょう。

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ADRの利用

当事者間だけでの交渉・話し合いではらちが明かないという場合には,弁護士会や各地の地方公共団体におけるADRなどを利用して話し合いをするという選択肢もあり得ます。

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支払督促

不動産の明渡しなどは求めず,ただ滞納賃料を支払ってもらえればよいという場合には,支払督促という裁判所の手続を利用することもあり得ます。

支払督促手続は,簡単にいうと,裁判所が賃貸人(貸主)に代わって請求書を送付してくれるという手続です。相手方に異議がなければ,判決などと同じ効力を生じることになります。

ただし,支払督促に対して賃借人が異議を申し出れば,通常訴訟に移行します。

>> 支払督促の手続(裁判所HP)

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訴状の作成

前記の内容証明郵便による請求書の送付やその後の交渉によっても賃料支払いが見込めないという場合には,訴訟を提起する準備をしておく必要があります。

裁判所に訴訟を提起するためには,訴状と呼ばれる書面を作成しておかなければなりません。

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賃料請求訴訟の提起

訴状が完成した場合には,その訴状を提出して賃料支払請求の訴えを提起します。不動産関連事件の場合には,その不動産の所在地を管轄する裁判所に訴えを提起することになります。

滞納賃料額が140万円以下であれば簡易裁判所に,140万円を超える場合には地方裁判所に,それぞれ訴訟を提起することになります。

また,滞納賃料額が60万円以下の場合には,簡易裁判所に対して少額訴訟という非常に簡易迅速に終結する特別な訴訟を提起することも可能です。

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賃料請求訴訟の遂行

訴訟においては,各当事者が,それぞれ主張およびその主張を裏付ける証拠を提出して立証をしていきます。

賃料請求の場合であれば,賃貸借契約の内容を記載し,両当事者の署名・押印のある契約書を提出することになります。なお,支払いがないことの立証は賃貸人側でする必要はなく,賃借人側で支払いをしたことを立証する必要があります。

明渡しを求める場合には,信頼関係が破壊されたといえるような事実を主張し,それを裏付ける立証をする必要があります。

これは,通常の訴訟の場合でも,少額訴訟の場合でも同様です。事案によっては,当事者又は証人の尋問が行われるということもあり得ます。

なお,訴訟においても,随時話し合いが行われます。訴訟において話し合いがついた場合には,裁判所によって和解調書が作成されます。この和解調書には確定判決と同一の効力があるとされています。

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裁判所による判決

当事者の主張と立証が尽くされると,それに基づいて,裁判所が判決という終局的な判断をすることになります。

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不服申立ての手続

判決に対しては,不服を申し立てることができます。

簡易裁判所に訴訟提起した場合,その判決に不服がある場合には,判決書送達の日の翌日から2週間以内であれば不服を申し立てることができます。不服申し立てをすると,地方裁判所が控訴審となり,さらに,その地方裁判所の判決にも不服があれば,高等裁判所に上告することもできます。

地方裁判所に訴訟提起した場合も,その判決に不服がある場合には,判決書送達の日の翌日から2週間以内であれば不服を申し立てることができます。不服申し立てをすると,高等裁判所が控訴審となり、さらに,その高等裁判所の判決にも不服があれば,最高裁判所に上告することになります。

少額訴訟の場合には,その支払督促に異議がある場合には,判決送達の日の翌日から2週間以内であれば異議を申し立てることができます。異議申立てができます。異議申立てがなされると,簡易裁判所の通常訴訟に事件が移行され,通常訴訟が行われることになります。

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判決の確定

前記の不服申立期間または異議申立期間内に不服申立てまたは異議申立てをしなかった場合には,その判決または支払督促は確定することになります。

確定した判決は債務名義となり,それに基づいて強制執行をすることが可能となります。

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判決確定後の手続

判決が確定した場合,相手方から任意に支払いがなされるのであれば問題はありませんが,そうでなければ,確定判決に基づいて強制執行の手続をとる必要があります。

強制執行の手続は,訴訟等とは別個の裁判手続です。したがって,賃借人の財産を調査した上で,強制執行を裁判所に申し立てなければなりません。

たとえば,預金口座,給料などを差し押さえることになります。これらの差し押さえるべき財産は,あらかじめ調査しておかなれければ強制執行ができませんので,賃貸借契約時などに調査しておくことが重要となります。

滞納賃料による不動産明渡しまでの手続の流れ

(著者:弁護士 志賀 貴

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