賃料・家賃等の請求はいつまでできるか?(消滅時効)

家賃・地代などの賃料請求権は,5年で時効により消滅してしまいます。ここでは,家賃・地代など賃料請求はいつまでできるのか(消滅時効)について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

(著者:弁護士 志賀 貴

消滅時効とは

ある権利を,一定の期間行使せずにいた場合,その権利を消滅させてしまう制度のことを「消滅時効」といいます。

権利行使をしない状態が長期間継続したことにより,もはやその権利は行使されないと信じた相手方や第三者の期待を保護し,法的安定性を図ることが目的です。

債権とは,特定人に対して特定の給付や行動を求める権利のことをいいますが,この債権も,やはり一定期間行使しないと時効によって消滅します。債権の消滅時効期間は,原則として10年とされています(民法167条1項)。

>> 消滅時効とは?

賃料請求権の消滅時効

賃貸人賃借人に対して家賃・地代などの賃料を支払うように請求する権利(賃料請求権)も,債権です。したがって,他の債権と同様に消滅時効によって消滅することがあります。

ただし,賃料請求権は,通常の債権と消滅時効期間が異なります。

民法169条は,「年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は,5年間行使しないときは,消滅する。」と規定しています。これを,定期給付債権の短期消滅時効といいます。

家賃・地代など賃料は,通常,月単位・年単位など期間を定めて一定額を支払うと定められていますから,上記規定の「「年又はこれより短い時期によって定めた金銭」に当たります。

したがって,家賃・地代などの賃料請求権は,「5年」で時効により消滅するということになります。つまり,5年が経過すると,滞納賃料を請求できなくなってしまうのです。

どの時点から5年かというと,それぞれの支払期限の日(の翌日)からです。たとえば,平成26年10月31日が支払期限であれば,平成31年10月31日に時効により消滅することになります。

ただし,もちろん一度にすべての賃料請求権が消滅してしまうわけでなく,消滅するのは,あくまで支払期限から5年が経過した部分のみです。

したがって,前記の例で,平成26年10月31日が支払期限とされている賃料は,月極め賃料の平成26年11月分だったとすると,平成31年10月31日時点で消滅するのはその平成26年11月分だけで,平成26年11月31日が支払期限の同年12月分賃料の請求権は,まだ消滅していないということになるのです。

消滅時効を止める方法(時効の中断)

前記のとおり,賃料請求権は,5年で時効により消滅します。現実的に,5年間も滞納した賃料を放置しておくということはあまりないかもしれませんが,気を付けておく必要はあるでしょう。

万が一,賃料の滞納が5年を経過する可能性がある場合には,時効を止めておく必要があります。時効の進行を止める法的措置のことを「時効の中断」といいます。

時効を中断するには,「請求」「差押え」「仮差押え」「仮処分」「承認」という措置をとる必要があります。もっとも,典型的なものは「請求」でしょう。

この時効中断事由となる「請求」とは,単に請求書を送付するというようなものではなく,裁判上で請求すること,つまり,賃料の支払いを求めて賃料請求訴訟を提起するということです。

もっとも,裁判上の請求でない請求も「催告」としての効果はあります。催告とは,仮の時効中断のようなもので,催告から6か月間だけは時効が完成しなくなります。

したがって,5年経過直前で訴訟等の準備もできないというような場合には,まず催告をしておき,そこから6か月以内に訴訟提起等の中断措置をとればよいのです。

なお,催告は,配達証明付きの内容証明郵便で請求書を郵送するという方法で行うのが一般的でしょう。

>> 時効の中断とは?

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