物権法定主義とは?

物権は,法律で定められたもの以外は創設することができないとする原則のことを,物権法定主義といいます。ここでは,この物権法定主義とは何かについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

物権の排他性

物権とは,を直接に支配する排他的権利です。

物を排他的に支配するということは,1つの物の上にある物権が存在する場合,それと同じ内容の物権は成立しえないということです。これを一物一権主義といいます。

例えば,Aさんがある不動産の単独所有権を有しているという場合,その不動産について,Bさんも単独所有権を有するということはできません。単独所有権という同じ内容の物権が併存してしまうからです。

>> 物権とは?

物権法定主義とは

前記のとおり,一物一権主義により,1つの物の上に同じ内容の物権が併存することはできません。

しかし,仮に,誰でも自由にいろいろな内容の物権を創設できるとすると,この一物一権主義に反する結果になる可能性があります。

つまり,例えば,前記の例でいうと,Bさんが●●権という所有権と同様の(または競合する)内容を持った物権を創設し,この●●権をAさんが所有する不動産に設定したとすると,実質的には,その不動産上に2つの同じ内容を持った物権が併存してしまうことになります。

一物一権主義に反するとどうなるのかというと,取引の安全を害することになります。

例えば,所有権のように法律で定められている物権であれば,法律で公示制度が用意されています。したがって,同じ不動産に2つの所有権が併存しないように対処することができます。不動産であれば,所有権については登記がなされるので,登記簿をみれば,所有権が併存しないように調整することができます。

ところが,Bさんが勝手に作り出した●●権については,当然,法律上の公示制度はありません。したがって,Aさんが所有権を有する不動産にBさんが創設した●●権を設定していたとしても,第三者はこれを知ることができません。

そうなると,例えば,Cさんが,Aさんから不動産を購入して所有権を取得したとします。しかし,実はその不動産には所有権と競合する内容を持つBさんの●●権が設定されています。この●●権については公示制度がありませんから,Cさんとしては事前にそれを知ることができません。そのため,完全な所有権があると信じて取引をしたCさんが,不利益を被ることになってしまいます。

このように,法律で定められた物権以外に,新たに誰でも自由に物権を創設できるとすると,実質的に一物一権主義に反する結果が生じ,公示制度が用意されていないことから,取引の安全を害することになってしまうのです。

そこで,民法175条は,「物権は,この法律その他の法律に定めるもののほか,創設することができない。」としています。これを「物権法定主義」といいます。

物権は法定のものしか認めないとすることによって,取引の安全を確保しようとしているのです。

物権法定主義の例外

前記のとおり,取引の安全のためには,自由に物権の創設を認めることはできないものとしなければなりません。

しかし,社会のニーズとして,法律で定められたもの以外にも排他的効力を備えた権利を認める必要があるという場合もあり得ます。そのような場合に,物権法定主義をあくまでも貫くとすると,かえって社会の固定化を招いてしまうおそれがあります。

そこで,公示制度がなくても取引の安全を害するおそれがなく,しかも,新たな物権を認める必要性が高い場合には,物権法定主義の例外として,法律で定められたもの以外でも物権として認められると解されています。

(著者:弁護士 志賀 貴

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